坂東玉三郎に片岡愛之助も!一般家庭から歌舞伎役者になったスゴい人たち

坂東玉三郎に片岡愛之助も!一般家庭から歌舞伎役者になったスゴい人たち エンタメ

歌舞伎役者は、先祖代々受け継がれたその家系に生まれた人のみがなれるものと思っている方も少なくないのではないでしょうか。

実際は、少数派ではあるものの、子役として歌舞伎の舞台に出演し、それをきっかけに歌舞伎の世界に入るケースや、歌舞伎俳優養成所を経て歌舞伎役者になるケースもあり、一般家庭出身でも歌舞伎役者になれるのです。

そこで今回は、一般家庭から歌舞伎役者になったスゴい人たち6名をご紹介いたします!

五代目 坂東玉三郎(ばんどう たまさぶろう)

  • 本名:守田伸一
  • 生年月日:1950年4月25日
  • 年齢:73歳
  • 出身地:東京都
  • 屋号:大和屋
  • 襲名歴:坂東喜の字→五代目坂東玉三郎

料亭の家に生まれた坂東玉三郎さん。小児麻痺後遺症のリハビリにと始めた舞踊でしたが、その舞踊の魅力に取り憑かれ、また、稽古に通った縁から1956年に十四世守田勘弥の部屋子になりました。

翌年、坂東喜の字を名乗り初舞台を踏み、1964年に芸養子に。そして、五代目坂東玉三郎を襲名しました。以降、次々と大役を演じ注目され、立女形として歌舞伎界のトップに上りつめました。

また、2009年に第57回菊池寛賞、2011年に第27回京都賞思想・芸術部門受賞など数多くの受賞歴があり、2012年には重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。

坂東玉三郎さんは73歳になった現在も独身で、坂東玉三郎 妻はいません。

六代目 片岡愛之助(かたおか あいのすけ)

  • 本名:片岡寛之
  • 生年月日:1972年3月4日
  • 年齢:51歳
  • 出身地:大阪府
  • 屋号:松嶋屋
  • 襲名歴:片岡千代丸→六代目片岡愛之助

歌舞伎とは無縁のスクリュー製造工場を営む家庭で育った片岡愛之助さん。1977年に習い事の一つとして受けた松竹芸能子役オーディションに合格し、舞台などで子役として活動。1979年には子役としてテレビドラマにも出演を果たし、本名で歌舞伎舞台にも子役として出演するようになります。

そして演技と歌舞伎への関心の高さを見出され、1981年に二代目片岡秀太郎の誘いで片岡一門の部屋子となり、片岡千代丸を襲名。1993年には二代目片岡秀太郎の養子となり、六代目片岡愛之助を襲名しました。

これまでに、1997年の咲くやこの花賞、2002年の国立劇場優秀賞など多数の受賞歴があります。

ちなみに、片岡愛之助さんが子役になったのは家族の意向でした。実家の工場はダンプカーの出入りが激しかったため、工場の周りで遊ぶのは危ないし、だからといって家で留守番させるのも可哀想ということで子役にさせたそうです。

二代目 市川笑也(いちかわ えみや)

  • 本名:泉山太男
  • 生年月日:1959年4月14日
  • 年齢:64歳
  • 出身地:青森県
  • 屋号:澤瀉屋
  • 襲名歴:泉山太男→二代目市川笑也

歌舞伎とは無縁の一般家庭に生まれた市川笑也さん。中学のアイスホッケーの試合ではペナルティボックスの常連だったそうです。

高校卒業後、上京し国立劇場歌舞伎俳優養成所に入学し、2年間の研修を受けます。そして1980年4月に行われた国立劇場「絵本合法衢」の中間で本名の泉山太男で初舞台を踏みました。

翌年、三代目市川猿之助の門下となり、二代目市川笑也を襲名。1986年のスーパー歌舞伎第1作「ヤマトタケル」のみやず姫に抜擢されたことを機に、ヒロイン役に次々と抜擢されるようになりました。

透き通った声と清新な所作、そしてその美貌で人気を集め、猿之助一座の花形の一人とまでに成長を遂げます。1990年には猿之助の部屋子となりました。

二代目 中村鶴松(なかむら つるまつ)

  • 本名:清水大希
  • 生年月日:1995年3月15日
  • 年齢:28歳
  • 出身地:東京都
  • 屋号:中村屋
  • 襲名歴:二代目中村鶴松

一般家庭に生まれた中村鶴松さんは、共働きだった両親の意向で3歳の時に児童劇団に入ります。そして、5歳の時に歌舞伎の子役のオーディションを受け、2000年5月の「源氏物語」(歌舞伎座)で本名の清水大希で初舞台を踏みました。

以降、子役として数多くの舞台に出演。2002年には第230回公演「通し狂言 霊験亀山鉾」石井源次郎で国立劇場特別賞を受賞するなどの活躍を見せます。

18代目中村勘三郎さんに早くから目をかけてもらっていた中村鶴松さんは、18代目からの誘いを受け、8歳の時に部屋子になることを決意。そしてその2年後、2005年に「清水大希改め2代目中村鶴松部屋子披露」がなされました。

歌舞伎の道に進んでからも勉学を怠ることはなく、高校卒業後は早稲田大学文学部文学科演劇映像コースに進学し卒業。ちなみに、センター試験の英語は全国1位だったそうです。

2021年には努力が認められ、八月歌舞伎では一般家庭出身の歌舞伎役者では異例の歌舞伎座での主演に抜擢されました。

中村莟玉(なかむら かんぎょく)

  • 本名:森正琢磨
  • 生年月日:1996年9月12日
  • 年齢:26歳
  • 出身地:東京都
  • 屋号:高砂屋
  • 襲名歴:中村梅丸→中村莟玉

両親ともに出版社勤務という一般家庭出身の中村莟玉さん。母親が歌舞伎好きということもあり、テレビの歌舞伎放送をよく見ていて、2歳の時に初めて歌舞伎座の舞台観劇を体験しました。

小学1年生の時に行った観劇の際、ロビーで大好きな「切られ与三郎」を真似していたところを日本舞踊家の花柳福邑さんに声をかけられ、踊りの稽古に通うように。そして7歳の時に福邑さんより四代目中村梅玉さんを紹介され、見習いとして楽屋に通うようになりました。

8歳の時に本名の森正琢磨で歌舞伎の初舞台を踏み、翌年には梅玉さんの部屋子に。歌舞伎座「六世中村歌右衛門五年祭 四月大歌舞伎」で中村梅丸を名乗り、梅玉さんの部屋子披露となりました。

2019年には師匠の梅玉さんとともに記者懇談会を行い、初代中村莟玉を名乗ることと、梅玉さんの養子になることを発表。そして同年11月に行われた歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」は改名後の初舞台となりました。

市川福五郎

  • 本名:井田一誓
  • 生年月日:2000年
  • 年齢:22または23歳
  • 出身地:大阪(?)
  • 屋号:成田屋
  • 襲名歴:市川福五郎

幼稚園の時にふとパソコンに流れた歌舞伎の宣伝を見て歌舞伎に興味を持った市川福五郎さん。そして、父親に「スーパー歌舞伎 ヤマトタケル」に連れて行ってもらい、観劇後、父親に「歌舞伎役者になる」と告げたそうです。

その後、父親の勤務先の宴会にいた芸者さんに「歌舞伎役者になりたい」と相談すると日舞を習うことを勧められ、小学2年生から日舞を習うことに。そして成田屋に入りたかった市川福五郎さんは、日舞の師匠の助言で十二代目市川團十郎さんに手紙を書き、東京で憧れの十二代目と会います。

小学4年生の時、大阪の日舞コンテストに出演し、その舞台を見ていた方を通じて片岡愛之助さんから「歌舞伎の子役をやらないか?」と誘われ、小学6年生で歌舞伎の初舞台を踏みました。

中学卒業後の進路を決める際、東京の歌舞伎俳優研修所に入ろうと考え、当時は2年に1度の募集だったので高校を1年で退学し上京を果たします。

そして2年間の研修を経て、2019年に憧れの成田屋に入門。同年5月歌舞伎座「神明恵和合取組」で市川福五郎を名乗り初舞台を踏みました。

まとめ

今回ご紹介した6名以外にも、三代目市川右團次さん、二代目市川猿弥さん、三代目市川笑三郎さんらも一般家庭出身で、現在も第一線で活躍しています。

日本の伝統芸能である歌舞伎は、こうして一般家庭出身の人と、代々受け継がれてきた家系出身の人とが良い意味で競争することにより、伝統を守りつつ新しい物を生み出すことができているのかもしれませんね。

一般家庭出身の歌舞伎役者のみなさんの、今後の活躍を応援しています!

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