中島みゆきさんの名曲「糸」をもとに製作された映画『糸』。菅田将暉さんと小松菜奈さんのダブル主演で話題になった作品ですが、検索すると『糸』映画が「気持ち悪い」といったキーワードが出てきます。
感動的な恋愛映画として期待していた観客の中には、なぜかモヤモヤした気持ちを抱いた方も少なくないようです。
今回は、一部の観客から『糸』映画が「気持ち悪い」と感じられてしまう理由について、詳しく解説していきます。
映画『糸』の基本情報とあらすじ
まずは作品の概要から見ていきましょう。
映画『糸』は2020年に公開された日本映画で、中島みゆきさんの代表的な楽曲「糸」の世界観をもとに製作されました。監督は瀬々敬久さんが務め、菅田将暉さんと小松菜奈さんがダブル主演を果たしています。
物語は平成元年生まれの高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)の30年間にわたる愛の軌跡を描いています。北海道で出会った二人が13歳で初恋を経験し、その後様々な困難に直面しながらも運命の糸で結ばれていくという内容です。
『糸』映画が「気持ち悪い」と言われる理由
多くの観客が期待して劇場に足を運んだ作品でしたが、なぜ一部の人は不快感を抱いてしまったのでしょうか。
演出の問題
最も多く指摘されているのが演出の問題です。
感動的なシーンを作ろうとするあまり、お涙頂戴な演出が過度に感じられてしまうことがあります。特に恋愛映画でよくある展開が多用されており、「開始数十分でオチが分かってしまった」という声も。
演技派として知られる菅田将暉さんや小松菜奈さんが出演していることで、観客の期待も高くなっていたことが裏目に出てしまった可能性もあります。期待と現実のギャップが大きいほど、失望感も強くなってしまうものです。
音楽の使い方が不自然
中島みゆきさんの楽曲が多数使用されていることも、違和感の原因の一つとなっています。
原作の「糸」をはじめとする名曲が映画内で何度も流れるのですが、「なぜここで流す必要があるのか」と感じるようなタイミングで挿入されることがあります。特に主題歌の「糸」については、繰り返し流れることで「飽き飽きしてしまう」という意見も見られました。
中島みゆきさんのファンであればあるほど、楽曲が無駄遣いされているような感覚を抱いてしまうこともあるでしょう。音楽と映像の調和が取れていない場面があることで、観客の集中を削いでしまっているのかもしれません。
編集の粗さ
地上波で放送された際には、編集に関する批判も多く寄せられました。
映画館で観た観客からは「カットシーンが多すぎて、良い映画もイマイチな映画になってしまう」という声が上がっています。幼少期のシーンや何気ない日常のシーンなど、物語の流れを理解するために重要な部分がカットされてしまうことで、内容が淡々としてしまったのです。
特に初回放送では放送時間の都合上、多くのシーンがカットされており、映画館で感動した観客ががっかりしてしまうほどでした。
キャストについて
主演を務めた二人の演技についても触れておきましょう。
菅田将暉の演技
高橋漣役を演じた菅田将暉さんは、北海道の酪農業を営む青年という難しい役を見事に演じています。
幼少期から大人になるまでの30年間という長いスパンを表現する必要があり、年齢に応じた演技の変化も求められました。特に葵への一途な想いを抱き続ける男性として、内面の複雑な感情を丁寧に表現していました。
小松菜奈の演技力
園田葵役の小松菜奈さんも、ファッションデザイナーを目指す女性として魅力的な演技を見せています。
「小松菜奈さんが出演している作品にハズレはない」というファンからの声もあり、今回の作品でもその美しさと演技力で観客を魅了しました。特に葵の心の変化や成長を表現する場面では、繊細な感情表現が印象的でした。
その他のキャスト陣
脇を固める俳優陣も豪華な顔ぶれとなっています。
山本美月さん、高杉真宙さん、馬場ふみかさんをはじめ、倍賞美津子さん、永島敏行さん、田中美佐子さんなどのベテラン俳優も出演しています。さらに斎藤工さん、成田凌さん、榮倉奈々さんなど、話題性のあるキャストも多数参加しました。
ラストシーンの賛否
映画の評価を分ける大きなポイントとなったのが、ラストシーンです。
賛成派の意見
感動的な結末として受け取った観客からは、「30年間の想いが実った美しい終わり方」という評価を受けています。
中島みゆきさんの「糸」の歌詞にある「縦の糸はあなた、横の糸は私」という世界観を見事に映像化した結末として、多くの観客の心を打ちました。長い年月を経て再び結ばれる二人の姿は、まさに運命の糸を感じさせるものでした。
反対派の意見
一方で、「ラストがひどい」「あっけなく終わってしまった」という批判的な声もあります。
それまで丁寧に描かれてきた二人の関係が、最後の部分で急に駆け足になってしまったと感じる観客も多かったようです。「小松菜奈さんも可愛くて、終わり以外は良かった」という意見もあり、結末の描き方に物足りなさを感じた人も少なくありませんでした。
気まずいシーンはあるのか
恋愛映画を観る際に気になるのが、家族や友人と一緒に観ても大丈夫かという点です。
映画『糸』には基本的に気まずいシーンはほとんどありません。キスシーンなどの恋愛要素はありますが、地上波のドラマと同程度の描写にとどまっており、過度に官能的な場面はないため、安心して観ることができます。
ただし、恋愛映画特有のロマンチックな雰囲気が全編を通して流れているため、人によってはその雰囲気自体を気まずく感じることもあるかもしれません。
実話ベースではない創作作品
「実話なのか」という疑問を持つ観客もいますが、この映画は実話を基にした作品ではありません。
中島みゆきさんの楽曲「糸」の世界観やメッセージにインスパイアされて製作されたフィクションです。歌詞に込められた人と人とのつながりや縁というテーマを映像化したものであり、特定の実在する人物の体験談ではありません。
まとめ
『糸』映画が「気持ち悪い」と感じられてしまう理由として、演出の過度さ、音楽の使い方、編集の粗さなどが挙げられます。
しかし一方で、「泣ける映画」「中島みゆきさんの世界観に合っている」という高い評価をする観客も多く存在します。特に主演の二人の演技については多くの人が認めており、キャスト陣の魅力は十分に伝わった作品と言えるでしょう。
恋愛映画という性質上、好みが分かれやすいジャンルでもありますし、期待値の高さも評価に影響を与えている可能性があります。「糸」という名曲のイメージを映像化するという挑戦的な企画だったこともあり、賛否両論分かれるのは自然なことかもしれません。
気になる方は、ぜひ一度ご自身の目で確かめて、30年間の愛の軌跡をどのように感じるか体験してみてください。