宮崎駿監督が10年ぶりに手がけた話題作『君たちはどう生きるか』。アカデミー賞を受賞し世界中で高い評価を得た一方で、『君たちはどう生きるか』が「気持ち悪い」という声も一部で聞かれる作品です。
従来のスタジオジブリ作品とは大きく異なる世界観や演出により、観客の間では賛否両論が巻き起こっています。一体なぜこれほどまでに評価が分かれるのでしょうか。本記事では、作品のあらすじから視聴方法、そして多くの人が感じる違和感の正体まで、詳しく解説していきます。
『君たちはどう生きるか』のあらすじ
まずはこの作品がどのような物語なのか、簡単にご紹介します。
物語の始まり
第二次世界大戦中の日本を舞台に、主人公の眞人(まひと)は火災で母親のヒサコを失ってしまいます。父親の勝一は戦争を避けて地方に疎開し、ヒサコの妹である夏子と再婚することに。しかし眞人は新しい母親となる夏子を素直に受け入れられずにいました。
不思議な青サギとの出会い
そんな中、眞人は謎めいた青サギから「母親が会いたがっている」という奇妙な誘いを受けます。最初は疎ましく思っていた眞人でしたが、次第にその誘いに興味を抱くようになっていきます。
異世界への旅立ち
青サギに導かれて不思議な塔を発見した眞人。ある日、夏子が突然姿を消してしまい、眞人は彼女を探すため塔の中へ足を踏み入れることになります。
そこには「下の世界」と呼ばれる異空間が広がっており、現実とは全く違った世界が眞人を待ち受けていました。
現実への帰還
下の世界で様々な冒険を経験した眞人は、最終的にその世界の支配者である大叔父から後継者になるよう求められます。しかし眞人はその申し出をきっぱりと断り、混乱する世界から脱出して現実の世界へと戻っていくのです。
なぜ『君たちはどう生きるか』は「気持ち悪い」のか?
多くの観客が抱く違和感の正体を探ってみましょう。
ビジュアル面での衝撃
従来のジブリ作品といえば美しく親しみやすい映像が特徴でしたが、本作は一味違います。
不気味なキャラクターデザイン
青サギをはじめとする登場キャラクターが、これまでのジブリ作品とは大きく異なっています。特にポスターに使われた鳥のイラストは「不気味」「怖い」という印象を多くの人に与えました。
グロテスクな表現の数々
物語中盤では、カエルが大量に這い回るシーンや魚の解体場面など、従来のジブリには見られなかった生々しい描写が登場します。これらの映像に対して「目を背けたくなる」「生理的に無理」といった声がありました。
ストーリーの難解さ
物語の構造そのものも、観客の戸惑いを生む要因となっています。
明確な答えがない構成
これまでのジブリ作品のような分かりやすいメッセージや起承転結が存在せず、観る人それぞれの解釈に委ねられている部分が多いのが特徴です。
感情移入の難しさ
主人公の眞人の心情描写が断片的で、どの登場人物に共感すればよいのか迷ってしまう観客も。「置いてきぼりにされた感覚」を覚える人も少なくありません。
期待とのギャップ
多くの観客が抱いていたジブリ映画への期待との間に生じた溝も大きな要因です。
ジブリらしさの変化
『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』のような温かく親しみやすい世界観を期待していただけに、本作の哲学的で難しい内容は受け入れにくいのでしょう。
作品の視聴方法について
気になるのは、この話題作をどこで観ることができるのかです。
映画館での上映状況
2023年7月に公開された本作は、現在ほとんどの映画館での上映を終了しています。ただし、一部の名画座やアート系の映画館では不定期で上映されることがあるようです。
動画配信サービスでの配信
残念ながら、現在のところ日本国内の主要な動画配信サービスでは配信されていません。Netflix、Amazon Prime Video、Hulu等では視聴できない状況が続いています。
ただし、海外では一部の地域でNetflixにて配信が開始されているという情報もあります。
DVD・Blu-rayでの視聴
最も確実な視聴方法は、DVD・Blu-rayの購入またはレンタルです。
作品に込められた深いメッセージ
表面的な「気持ち悪さ」の奥に隠された作品の本質について考えてみます。
宮崎駿監督の意図
宮崎駿監督は試写会で「自分でもよく分からない作品」と発言したと伝えられています。これは決して投げやりな発言ではなく、観客一人一人が自分なりの答えを見つけてほしいという思いなのかもしれません。
現実と向き合うことの大切さ
物語の終盤で眞人が理想的な異世界での生活を拒否し、困難な現実世界に戻ることを選ぶシーンは、作品の核心的なメッセージを表しています。
戦争という背景
第二次世界大戦という重い時代背景の中で、それでも前向きに生きていこうとする人々の姿が描かれています。現代においても通じる普遍的なテーマといえるでしょう。
原作との関係性
映画のタイトルにもなっている吉野源三郎の名作小説との関連性も気になるところです。
小説『君たちはどう生きるか』との違い
1937年に発表された原作小説は、主人公コペル君の成長を通じて人生の教訓を描いた作品でした。一方、映画は原作の内容をそのまま映像化したものではなく、タイトルから着想を得たオリジナルストーリーとなっています。
共通するテーマ
原作と映画に共通しているのは、困難な状況に直面した時にどう生きるべきかという根本的な問いかけです。表現方法は全く異なりますが、人生への深い洞察という点では一致しています。
観る前に知っておきたいポイント
この作品を鑑賞する際の心構えについてお伝えします。
従来のジブリ作品とは別物として
『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』のような作品を期待して観ると、大きなギャップを感じてしまう可能性があります。全く新しいタイプの作品として向き合うことが大切です。
一度の鑑賞で理解しようとしない
複雑で象徴的な表現が多用されているため、一回の視聴ですべてを理解しようとする必要はありません。むしろ、分からないことがあっても自然に受け入れる姿勢が重要かもしれません。
自分なりの解釈を大切に
作品に明確な答えが示されていない分、観る人それぞれが感じたことや考えたことに価値があります。他人の解釈と違っていても、それが間違いということはないのです。
まとめ
『君たちはどう生きるか』が「気持ち悪い」といわれる理由は、従来のジブリ作品との大きな違いにあります。不気味なビジュアル、難解なストーリー、そして観客の期待とのギャップが、多くの人に違和感を与えているのが現状です。
しかし、その「気持ち悪さ」こそが宮崎駿監督の意図したものかもしれません。心地よいだけの物語から一歩踏み出し、観客に「自分はどう生きるか」という根源的な問いを投げかけている作品なのでしょう。
現在のところ動画配信での視聴は難しい状況ですが、DVD・Blu-ray、または映画館での再上映情報をチェックしてみてください。賛否両論ある作品だからこそ、実際に観て自分なりの答えを見つけてみる価値があるのではないでしょうか。